将棋界は、実力主義と礼節を何よりも重んじる極めて厳格な世界です。タレントがプロモーション目的で足を踏み入れても、知識の浅さや対局姿勢の甘さがあれば、ファンの厳しい目に晒されるケースは少なくありません。そうした環境のなかで、伊藤かりんが棋士・ファン双方から熱烈なリスペクトを集め続ける背景には、徹底した基礎固めと妥協のない学習姿勢が存在します。
彼女が将棋と本格的に向き合う契機となったのは、乃木坂46在籍時代でした。冠番組の企画で特技として将棋を披露したことをきっかけに、その類まれな筋の良さと探求心が将棋関係者の目に留まりました。盤面を俯瞰する大局観はもちろん、駒の並べ方(大橋流・伊藤流)から対局中の所作、対戦相手への敬意に至るまで、伝統芸能としての礼法を完璧に身につけていったのです。
関係者の証言によると、現場の控え室でも常に詰め将棋の本を開き、空き時間があれば棋譜並べに没頭していたといいます。表面的な知識の披露ではなく、泥臭く手を読む姿勢こそが、棋界の重鎮たちの心を動かした最大の要因です。