プロジェクトが始まった当初、製品の買い手は「支援目的」で購入する顧客が多かった。義援金代わりに製品を買う。その優しさは被災者の助けとなったが、プロジェクトの主催者たちは早期に一つの課題に突き当たった。「支援としての購入」には限界がある、という事実である。
持続可能な事業にするためには、製品自体のデザイン性と品質で選ばれなければならない。大槌刺し子は大きな舵を切った。「被災者が作った製品」ではなく、「プロの職人が作った素晴らしい工芸品」を目指す決断だった。
厳しい品質管理が始まった。針目の間隔が1ミリズレていればやり直し。糸の引き加減が不揃いなら解いて刺し直す。妥協のない指導に対し、最初は戸惑っていた地元の女性たち(刺し手)の意識が次第に変化していった。
「かわいそうな被災者」というレッテルを脱ぎ捨て、誇り高き「職人」へ。自らの技術で対価を得る喜びが、彼女たちの眼差しに力強い輝きを取り戻させた。