抑制栽培とは?促成栽培との違いやあえて出荷を遅らせる狙いを徹底解剖

抑制栽培とは?促成栽培との違いやあえて出荷を遅らせる狙いを徹底解剖

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農林水産省の「野菜生産出荷統計」や東京都中央卸売市場の年報を辿ると、10月から11月にかけての端境期におけるトマト・きゅうりの卸売価格は、最盛期の夏季に比べて平均30%から最大で80%近く高騰する年が珍しくありません。一見すると、抑制栽培は農業経営において「ボロ儲けの錬金術」のように映るかもしれません。しかし、現場の第一線に立つ生産者たちの声に耳を傾けると、過酷な気候変動とのギリギリの攻防が浮かび上がってきます。

関東地方で中規模の施設園芸を営む40代のトマト農家は、取材に対して次のように現場の過酷さを吐露しています。

「昔は『8月定植で秋出荷』というスケジュールが教科書通りに機能していましたが、近年の夏は外気温が平気で38度を超えてきます。遮光ネットを張り巡らせて循環扇をフル回転させても、ハウス内は40度近くに達する。苗が焼け焦げるリスクと常に隣り合わせです。少しでも水管理を誤れば一晩で萎れて全滅するプレッシャーは凄まじい。資材代や電気代も高騰しており、秋の高単価で売り抜かなければ経営が成り立たないという背水の陣で挑んでいます」

さらに、秋口は大型台風の襲来シーズンとも重なります。ハウスの損壊リスクや、長雨による日照不足で着色不良に陥るなど、収穫に至るまでの障害は普通栽培の比ではありません。大手青果仲卸の担当者も「秋の端境期に形が揃ったA品の国産トマトやきゅうりを安定供給してくれる産地には、相応のプレミアム価格を支払うのが業界の常識。それだけ抑制栽培には高い参入障壁とリスクが伴っている証拠だ」と指摘します。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。