幕末の日本を大きく動かした実在の志士・坂本龍馬と、『銀魂』の坂本辰馬。原作者である空知英秋氏は、歴史上の人物の大胆なパロディやアレンジを得意としますが、坂本辰馬に関しては龍馬の持つ「先進性」「自由奔放さ」「商売への情熱」という本質的なDNAを極めて忠実に抽出しています。
土佐弁を操り、船の操舵に情熱を燃やし、従来の武士道に縛られずピストルを武器とするスタイルはまさに坂本龍馬そのものです。史実において龍馬が設立した日本初の株式会社とも称される「海援隊」は、作中では星間貿易商社「快援隊」へとスケールアップして描かれています。
最大の違いは「最期」にあります。史実の龍馬は大政奉還を成し遂げた直後、京都の近江屋で非業の死を遂げました。しかし『銀魂』における辰馬は、激動の最終決戦である「銀ノ魂篇」をくぐり抜け、戦後も飄々と宇宙の海を股にかけ続けています。悲劇の英雄を「未来を創り続ける男」として描ききった点に、原作者の強い敬意が読み取れます。