音楽用語Con Motoの真相|単なる加速ではない表現の真髄と解釈法

音楽用語Con Motoの真相|単なる加速ではない表現の真髄と解釈法

音楽用語Con Motoの真相|単なる加速ではない表現の真髄と解釈法に関する専門家の意見を分かりやすく解説いたします。

演奏現場で頻発する最大の悲劇は、con motoの指示を見た演奏者がメトロノームの目盛りを2〜3段階引き上げてしまう現象です。このアプローチを取った瞬間、音楽は息切れを起こし、本来作曲家が意図していた旋律の伸びやかさが失われます。

音楽美学および認知心理学の観点から分析すると、人間は「動き」を意識した際、無意識に手足の筋緊張を高め、単位時間あたりの運動量を増やそうとする傾向があります。しかし、音楽における動きをつけての意味と表現とは、音と音の間にある「時間的な張り(テンション)」を維持することに他なりません。

たとえば、旋律が長く伸ばされる全音符やタイで結ばれた箇所において、推進力を失った演奏は「静止した音の塊」に聞こえます。ここにcon motoの精神が介在すると、音量は一定であっても、奏者の体内では次の小節の第1拍へ向かう強烈なエネルギーのベクトルが働きます。表面的なテンポ(BPM)をまったく変えなくても、音の立ち上がり(アタック)から減衰(ディケイ)への処理、そしてフレーズ末尾から次のフレーズへの受け渡しに緊張感を持たせるだけで、聴き手は「音楽が前へ進んでいる」と知覚します。速度を上げることと、推進力を持つことは、次元の異なる事象です。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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