映画の中で最もミステリアスな存在として描かれるのが、ウッドワードに決定的な助言を与え続けた影の情報提供者「ディープ・スロート」です。情報漏洩を防ぐため、自宅のベランダに置く植木鉢の位置で合図を送り、深夜2時の地下駐車場で密会するという徹底した秘密主義が貫かれました。
映画公開後もその正体はアメリカ現代史最大の謎の一つとされていましたが、事件から33年が経過した2005年、元FBI副長官のマーク・フェルト氏が自ら名乗り出たことで、ついに真実が明らかになりました。
当時、ニクソン政権が捜査機関であるFBIに政治的圧力をかけて事件を隠蔽しようとしたことに強い危機感を抱いたフェルト氏が、正義と組織の独立性を守るためにウッドワードへ情報をリークしていたのです。死ぬまで秘密を守ると誓っていた記者たちと、内部告発者の信念が交差したドラマは、現実の歴史をも動かした象徴的な出来事でした。