映画『君の名は。』を鑑賞した観客の多くが「最も鳥肌が立った」と口を揃えるのが、糸守の御神体が鎮座するカルデラの縁で、瀧と三葉が世界の境界を越えて出会う「かたわれ時」の場面です。昼でも夜でもない黄昏時、互いの姿を視認した瞬間に静かに立ち上がるピアノの単音。この胸を締め付ける名シーンで流れている劇伴の正式タイトルこそが、トラック22に収録されている「かたわれ時」です。
この楽曲は、ミニマル・ミュージックのように静謐なピアノのリフレインから幕を開け、2人の心が通い合い、ペンで互いの手のひらに名前を書き留めようとする切迫感に合わせて、徐々にストリングスが重厚なクレッシェンドを描いていきます。そして、陽が完全に沈み、マジックアワーの終わりとともに三葉のペンが地面に落ちて姿が消える瞬間、音楽は突如として張り詰めた静寂へと突き落とされます。
ネット上の感想コミュニティやSNSのログを分析すると、「イントロの数音を耳にしただけで条件反射的に涙が出る」「風景描写とピアノの音響空間が見事に同調している」といった声が極めて多く見られます。劇中におけるこの旋律は、単なるBGMではなく、運命に抗う少年少女の儚い命の鼓動そのものを代弁する演出装置として配置されているのです。