長編映画監督デビュー作として本作を手掛けた女優レベッカ・ホールの執念も見逃せない。実は彼女自身の母方の祖父が、自らの黒人としての出自を隠して生きていた可能性が高いというルーツを持っており、本作の映画化は彼女にとって極めて私的な探求でもあった。
企画段階では白黒映画かつ4:3のスタンダードサイズという妥協なき美学が興行的なリスクとみなされ、出資集めに苦戦を強いられた。しかし、フォレスト・ウィテカー率いるシグニフィカント・プロダクションズなどが制作に参画したことでプロジェクトは本格始動。徹底的に削ぎ落とされた映像美学が確立されるに至ったのだ。