櫻井氏の性教育実践で特筆すべきは、性的マイノリティへの配慮が自然に組み込まれている点だ。LGBTQの若者たちも、性と生殖に関する正確な情報と支援を必要としている。しかし、従来の異性愛を前提とした性教育では、彼らは疎外されがちだった。
包括的性教育では、さまざまな性的指向や性自認が存在することを前提とする。同性カップルの避妊や性感染症予防、トランスジェンダーの生殖健康など、多様な状況に対応した情報提供が求められる。
櫻井氏は、すべての若者が自分に関連する情報として性教育を受けられるよう、言葉遣いや事例の選択に細心の注意を払っている。「男性と女性」という二分法ではなく、より包括的な表現を用いる。小さな配慮が、疎外されていた若者に安心感を与える。
ジェンダー平等の視点
性教育におけるジェンダー平等とは、性と生殖の責任が女性だけに偏らないことを意味する。避妊は女性だけの問題ではなく、男性も等しく責任を持つべきだという視点だ。
また、性的な関係における力の不均衡にも目を向ける。年齢差、経済的依存、社会的地位の違いなどが、対等な関係を阻害する要因となり得る。こうした構造的問題を認識することも、包括的性教育の重要な要素だ。