彼のリーダーシップを一言で表すなら、「静かなる改革者」だろう。大声で怒鳴るようなタイプではなかった。しかし、一度決めたことは絶対に曲げない強い意志を持っていた。
会議では、最後まで黙って聞いていることが多かったという。そして、全員が意見を出し終えた後で、核心を突く質問を一つ投げかける。その質問で、議論の方向性が一気に変わることも少なくなかった。
また、彼は失敗を許容する文化を作った。新しい試みが失敗しても、それを責めることはなかった。代わりに「何を学んだか」を問うた。この姿勢が、社員の挑戦意欲を引き出した。
後進の育成と引退
山本善治は、70歳を目前に社長の座を後継者に譲った。しかし、完全に引退したわけではない。相談役として、若い経営陣に助言を与え続けた。彼の教えは、今もなお会社のDNAとして受け継がれている。
彼が最も重視したのは「倫理観」だった。「儲けることだけを考えてはいけない。社会に貢献できなければ、ビジネスをする意味がない」と、彼は繰り返し語った。この言葉は、現在の経営陣の行動規範にもなっている。