現場で規制の取り締まりと制度の再構築を担うタイ公衆衛生省は、医療現場での利用価値を守りつつ、乱用を防ぐガイドラインの策定に追われてきた。解禁初期の混乱期には、THC(四ヒドロカンナビノール)含有量の管理基準や未成年への販売規制が事実上骨抜きになっていたため、医療機関への救急搬送事例が急増した経緯がある。
この事態に対し、国連薬物犯罪事務所(UNODC)はアジア地域における薬物市場の拡散リスクとして警鐘を鳴らし続けてきた。一方、世界保健機関(WHO)はCBDなどの非精神作用成分における医療的有用性を認めつつも、十分な監視体制や法制度を欠いた急速な解禁が公衆衛生に及ぼすリスクを指摘する。タイの試行錯誤は、薬物政策における「緩和と統制」の難しさを象徴するケーススタディとして、国際社会から厳しい視線が注がれている。