なぜここまで硬貨の取り扱いが厳格化されたのか。その背景には、金融庁が主導する金融機関の健全化方針と、日本郵政グループ全体の経営構造改革がある。笠間貴之社長率いるゆうちょ銀行の経営陣にとっても、全国津々浦々に広がるネットワークを維持しながら、現金インフラの維持コストをいかに適正化するかは至上命令だ。
日本全国の過疎地から都心部まで、あらゆる人々に金融アクセスを提供するリテール金融サービスとしての役割は依然として大きい。しかし、現金の維持には膨大なセキュリティ費用と物流コストが伴う。デジタル社会への移行に伴い、硬貨取扱手数料新料金体系の導入は、社会全体の現金維持コストを適正な利用者が負担するという持続可能な金融システム構築への不可欠なステップだったと言える。