『ピーターパン』という楽曲を語るうえで、優里が辿ってきた泥泥の足跡を無視することはできません。かつて組んでいたロックバンド・THE BUGZYの解散後、彼はマイクとアンプを抱え、東京・渋谷や新宿の路上に立ち続けました。通行人に足を止めてもらえず、冷たい視線を浴びる日々のなかで書き留められた感情の断片こそが、この楽曲の母体となっています。
運命が激変したのは2019年10月。渋谷の路上でMY FIRST STORYの代表曲『花-0714-』を弾き語りしていた優里のもとに、偶然通りかかったボーカルのHiroが飛び入り参加した出来事でした。この奇跡的な出会いを契機に、Hiroのレコメンドを受けてさいたまスーパーアリーナで行われたツアー最終公演のアンコールにサプライズ出演を果たします。
当時の特番インタビューや手記において、優里本人は「あの路上での悔しさや、見下してきた人たちの言葉を全部ノートに書き殴っていた。それがピーターパンの歌詞の原点」と振り返っています。メジャーデビューという大舞台の第1弾シングルに、あえて綺麗事ではない剥き出しの闘争心を詰め込んだのは、路上で培った「何者でもなかった自分」へのケジメであり、同じ境遇に喘ぐ仲間への合図でもありました。