節分の夜、撒いた豆を食べる段になると必ず浮上するのが「結局、何個食べればいいのか」という素朴な疑問だ。一般的には「自分の年齢の数だけ食べる」あるいは「年齢に1個足した数を食べる」と言われるが、この「1個プラス」の根拠こそが、古来日本の年齢の数え方である数え年に由来している。
明治時代に西洋の満年齢が導入されるまで、日本人は生まれた日を「1歳」とし、元日を迎えるたびに一斉に歳をとる制度を用いていた。つまり、節分の時点で食べる豆の数は、当時の数え年そのものを意味する。実年齢(満年齢)に1個足した数を食べるというルールは、新しい1年を迎えるにあたり、来る年の無病息災と厄除けを祈願する知恵なのだ。
神社界の総本山的な存在である神社本庁の見解や各地域の伝承を紐解いても、「満年齢+1個」または「数え年の数」を食べるスタイルが伝統に則った基本作法とされる。撒かれた炒り豆は「福豆」と呼ばれ、体に邪気を入れないための神聖な食べ物とされてきた。まずは自身の数え年を把握することが、伝統を正しく味わう第一歩といえる。