玉川氏の特異な語り口を理解する上で欠かせないのが、玉川徹の学歴と経歴に刻まれたバックボーンです。ワイドショーのコメンテーターといえば、法学部出身の弁護士や文学部出身の作家、政治ジャーナリストが主流を占める中、玉川氏は京都大学農学部農業工学科を卒業後、同大学院修士課程を修了した純然たる理系研究者出身のテレビマンです。
1989年にテレビ朝日へ入社した彼は、アナウンサーではなく制作・報道畑のディレクターとしてキャリアをスタートさせました。『内田忠男モーニングショー』『ザ・スクープ』『スーパーモーニング』などの報道情報番組でディレクターを務め、徹底した裏取り取材と映像演出の現場を数十年にわたって叩き込まれています。
京都大学農学部で培われた「仮説検証型の論理的思考」と、ディレクター時代に身体へ染み込ませた「視聴者の感情を揺さぶる演出感覚」の融合こそが、彼の武器です。統計データや海外の学術論文を自ら読み解きながら、時にあえて世論を二分する極論を投げかける手法は、無味乾燥な客観報道とは一線を画する劇場型の議論を生み出します。
「私はこう考える」「現場を自分の目で見た人間として言いたい」という主観的な強いメッセージ性は、視聴者に強烈な共感か強烈な反発の二者択一を迫ります。この知的挑発とも呼べるアプローチが、長寿番組の中で彼を「代えの利かない唯一無二の駒」として機能させ続けている決定的な要因です。