復職者たちが直面する金銭的・精神的プレッシャーは、数字以上の重みを持っています。東京都内のIT企業で働く30代女性は、復帰当時の通帳を見て呆然とした体験を次のように証言しています。
「残業ゼロの6時間時短勤務で復職したため、総支給額は手当込みで約21万円でした。しかし、休業前はフルタイムで深夜残業もこなしていたため、標準報酬月額は36万円等級のままでした。健康保険・厚生年金だけで毎月約5万円が差し引かれ、所得税や前年所得ベースの住民税を引かれた後の手取りは13万円台まで落ち込みました。保育料の支払いを合わせると、何のために職場へ戻ったのか涙が出ました」
SNSや知恵袋などの投稿を分析しても、「会社が手続きを把握しておらず、半年以上放置されていた」「申出書を書かされた記憶がなく、給料明細を見るまで制度の存在すら知らなかった」といった総務・労務担当者の知識不足に起因するトラブルが後を絶ちません。制度の適用には「被保険者本人からの事業主への申し出」が起点となるため、従業員側が仕組みを理解し、自発的にアクションを起こさなければ、過払い状態が何カ月も放置される構造的リスクを抱えています。