現役時代の後半、彼のアート性を決定づけたのがスイスの名スケーターであり指導者のステファン・ランビエールとの出会いだ。ランビエール陣営のもとで磨かれたのは、指先からつま先まで意識を張り巡らせる上半身のダイナミックな使い方だった。
小柄なスケーターが大きく見せるための鍵は、胸郭の開きと腕のアコーディオンのような動きにある。スイスの拠点でのトレーニングを通じて、身体の伸縮を音楽のダイナミクスと同調させる技法を習得。結果、ジャッジや観客は彼の物理的なサイズではなく、空間全体を包み込むような世界観に引き込まれることとなった。