「とにかく予約が取れない」。食通たちの間でそんな悲鳴が上がるようになって久しい。名実ともに超一級の予約困難店となった背景には、ネット時代の口コミ現象がある。
グルメ感度の高いユーザーが集まる食べログでは高評価レビューが相次ぎ、レビュー欄には熱量あふれる長文が躍る。さらに、ピンポイントで店を目指す外国人観光客や遠方からの訪問者がGoogleマップの口コミを頼りに押し寄せている。
厳しい局面が続く近年の外食産業において、席数が限られた個人店に需要が殺到する構造が生まれた。職人による手切りへの妥協なきこだわりゆえに、席数を増やして回転率を上げる選択肢は店主にはない。希少価値が最高潮に達している理由はそこにある。