なぜこれほど突発的な噴火を事前に察知し、警戒を呼びかけることができなかったのでしょうか。その背景には、今回の現象がマグマそのものが上昇して噴出するマグマ噴火ではなく、水蒸気爆発というメカニズムで発生した点にあります。
水蒸気爆発は、地下深くのマグマの熱が地下水に伝わり、逃げ場を失った高温高圧の水蒸気が一気に岩盤を破壊して吹き飛ぶ現象です。マグマ噴火に比べて地下の地殻変動が極めて小さく、大規模な山体膨張などが観測されにくいため、現代の観測技術をもってしても直前予知が困難とされています。
噴火の約2週間前から火山性地震の増加は確認されていたものの、直前には一時的に地震活動が落ち着いていたため、気象庁の噴火警戒レベルは「1(平常、現・活火山であることに留意)」のまま据え置かれていました。この御嶽山における噴火予知の真相と観測限界は、日本の火山監視体制に根底からの見直しを迫る契機となりました。