西野未姫のキャリアを語るうえで避けて通れないのが、AKB48の14期生としてデビューした初期の黄金期です。同期の小嶋真子、岡田奈々と共に「AKB48 14期生 三銃士」と命名され、派生ユニット「てんとうむChu!」の主要メンバーとしても抜擢。先輩メンバーをも圧倒するような髪を振り乱した激しいパフォーマンスは「全力ダンス」として愛され、グループの未来を担う正統派ホープと目されていました。
しかし、その眩い栄光に暗雲が垂れ込めたのが2016年の秋、週刊文春による未成年深夜徘徊および男性アイドルとのダブルデートスキャンダルの報道でした。当時17歳だった西野にとって、この報道は致命的な打撃となります。選抜復帰の道は閉ざされ、ファンの失望とネット上の苛烈な批判が彼女を取り巻きました。
インターネット上では長年「スキャンダルによる運営からの解雇処分」との噂が独り歩きしていましたが、後に本人がテレビ番組やYouTubeの独白企画で語った卒業理由の真相は、より複雑な心理的要因をはらんでいます。報道後にグループ内で完全に居場所と選抜復帰への目標を見失い、同期が階段を駆け上がる姿を間近で見続けるなかで、自己否定と精神的な限界に追い詰められていたのです。
「このまま居座っても、惨めな思いをし続けるだけだ」。そう痛感した彼女は、運営から引導を渡される前に自ら卒業を申し入れました。2017年3月に行われた卒業公演で流した涙は、過ちへの贖罪と、若くして夢の頂点から転落した少女の痛切な挫折の証言でした。