「乗車日の1か月前、発売開始となる午前10時にWeb操作をしたのに席が取れなかった」――SNSや旅行掲示板で日常茶飯事のように飛び交う悲鳴です。特急ゆふいんの森のチケット争奪戦がここまで過熱する背景には、単なる人気の高さだけではない明確な構造的理由が存在します。
第一に挙げられるのが、「全車指定席」という運行形態です。ゆふいんの森には自由席が1席も設定されていません。キハ71系(4両編成)またはキハ72系(5両編成)で運用されており、1列車あたりの総座席数は約210〜260席程度と、新幹線や一般的な幹線特急に比べて極めて供給量が限られています。
第二の要因は、訪日外国人観光客(インバウンド)によるJR九州レールパス利用の集中です。世界的なガイドブックやSNSで「九州で絶対に乗るべき観光列車」として定着した結果、個人旅行者だけでなく海外ツアーの団体枠としても早期に座席が押さえられる傾向が強まっています。窓口や一般のインターネット予約画面にアクセスした時点で、すでに主要な時間帯が埋まっているように見えるのはこのためです。