かつてローカルな学生スポーツイベントに過ぎなかった大会を、全国民が注目するビッグイベントへと昇華させたのは、日本のメディア展開の功績が大きい。1980年代後半から始まった日本テレビによる全区間完全生中継は、カメラ技術や移動中継車の進化とともに、正月のスポーツ観戦スタイルを決定づけた。現在では、地上波放送にとどまらず、TVerなどの動画配信プラットフォームを通じたリアルタイム視聴や見逃し配信が定着し、Z世代や海外のファン層へも急速に広がっている。
こうした放映技術の発展は、日本のスポーツメディア産業全体においても突出したビジネスモデルを確立した。さらに、三浦しをんの小説『風が強く吹いている』に代表される文学やアニメ作品を通じて、駅伝に挑む青年たちの青春像が可視化されたことも熱量を後押しした。リアルとフィクションが交差することで、ファンは各大学のタスキに込められた物語をより重層的に楽しむようになったのだ。