思考した瞬間にAIが文章を生成してくれる2026年だからこそ、自らの指で文字を刻む物理的な行為に快感を覚える人が増えている。皮肉な話だ。AIが一瞬で長文原稿を書き上げる時代において、人間がわざわざキーボードを高速で叩く「無駄な熱量」にこそ価値が見出されている。画面上で流れる単語をひたすら入力し続ける単純なルール。しかし、そこには格闘ゲームに似た研ぎ澄まされた集中力が必要とされる。
「脳が指示を出す前に指が勝手に動く感覚。一度味わうと病みつきになります」と語るのは、国内ランキングトップを走る20代のプレイヤーだ。キーを押すたびに返ってくる打鍵感、そして数値として可視化されるスコア。デジタル技術で効率化されつくした日常の中で、若者たちが求めたのは、自らの身体性を極限まで高めるカタルシスだったのかもしれない。