ヤマトの歴史を振り返れば、常に生活者の潜在的な不便を解消する試みの連続だった。小倉昌男氏が旧態依然とした業界の常識を打ち破り、個人向け宅配ネットワークを切り拓いたスピリットは、形を変えてラストワンマイル物流の現場に息づいている。
かつては「家でじっと荷物を待つ」ことが当たり前だった。しかし、受け取り場所の多様化は、物流を一方通行の配送から、生活者と事業者が協力し合うフレキシブルなエコシステムへと昇華させた。ドライバーの無駄な走行を減らし、二酸化炭素の排出を抑え、都市の血流を滑らかにする。手元の画面で受取先をコンビニへスライドさせる指先ひとつのアクションが、社会インフラを静かに支えている。