長嶋氏の長年にわたる闘病とリハビリを支え続けてきたのが、日本の高度医療の拠点である慶應義塾大学病院である。ここでは最先端のスポーツ医療の知見を取り入れたリハビリプログラムが組まれており、脳卒中後の機能回復に向けた専門チームが日々タッグを組んでいる。高齢になればなるほどリハビリの負荷は身体的ストレスとなり得るが、ミスターの姿勢は異例そのものだ。
指導にあたる理学療法士は、長嶋氏の集中力と粘り強さに度々驚かされるという。歩行訓練において僅かなフォームの乱れを自ら修正しようとする姿勢は、現役時代の打撃フォーム追及そのもの。理学療法士が「今日はここまでにしておきましょう」と制止しても、「あと一回、完璧な一歩を」と食い下がる場面もしばしば目撃されている。限界を自ら設定しない生き様が、医療従事者たちの心を動かしてやまない。