現場のテレビマンたちが抱く苦悩は深い。長年バラエティ番組に携わってきたベテランディレクターは、「過去の成功体験がそのまま使えない時代になった。誰も傷つけない笑いを追求するあまり、無難で毒のないコンテンツばかりになってしまう恐怖もある」と明かす。鋭い風刺や社会批判を込めた笑いと、単なる差別的表現との切り分けは、極めて繊細な作業である。
他方で、若手クリエイターたちの意識は大きく異なっている。最初から多様性を前提とした価値観の中で育った世代は、誰もが安心して楽しめる新しいコメディの形を模索している。特定の属性を笑うのではなく、シチュエーションの滑稽さや人間の滑稽な心理を描く笑いへと、笑いの質の移行が着実に進んでいる。