昭和40年代後半、それまで子ども向けの読み物と見なされがちだったジャンルに地殻変動を起こしたのが萩尾望都らを中心とする「花の24年組」だった。彼女たちはSF、心理学、同性愛、歴史哲学といった重層的なテーマを果敢に持ち込み、少年の身体と少女の精神が交錯する思春期の葛藤を文学の領域へと押し上げた。
萩尾望都が描く孤独の影や実存の問いは、半世紀を経た現代の読者の肺腑をも容赦なく抉る。単純な勧善懲悪を排し、愛と憎悪、生と死が表裏一体となったその哲学的構造は、時代がどれほど移り変わろうとも色褪せる気配すらない。