面白いのは、この熱狂を前線で支えているのが当時を知らない10代〜20代の若い世代だという事実である。スマートフォンを片手に乗り込んだ彼らが即座に撮影し、TikTokやInstagramに投稿するのは、木製の床やレバー式の運賃箱、そして「チーン」と高く響く古いベル音だ。
デジタル空間では再現できない重厚な質感と、どことなく温かみのある空間。無駄を省く効率化の時代に育った若者にとって、カーブを曲がるたびにギシギシと鳴る車体や分厚いクッションの座席は、新鮮でエモいエンターテインメントそのものとして映っている。