連載開始当初の『こち亀』は、現在広く知られているアットホームで明るい国民的コメディとは大きく異なっていた。ハードボイルドな劇画タッチで描かれた両津勘吉は凶暴かつ破天荒で、作中に漂う雰囲気もまた、昭和のストリート感に満ち溢れていたのだ。
この時期の紙面には、ストリップ劇場や酒場の怪しげな店内、あるいは両津がトラブルに巻き込まれて裸にされるといった、アングラ色の強い描写がごく当たり前に登場していた。当時の『週刊少年ジャンプ』自体が、劇画誌の流れを汲む過激で泥臭い熱量を宿していたことも背景にある。若い読者を惹きつけたのは、単なる無邪気なギャグではなく、大人たちの夜の世界を少しだけ覗き見るような背徳感だったのかもしれない。