両親の強烈な個性を浴びて育った娘たちもまた、予定調和のレールを激しく拒絶した。長女の安藤桃子は、ロンドンで映画作りとアートを学んだのち、監督として鮮烈なデビューを飾る。自らの小説を映画化した大作『0.5ミリ』は、国内外で絶賛を浴び、映画賞を総なめにした。
彼女の特異さは、東京の映画ビジネスの中心から意図的に距離を置いた点にある。ロケ地となった高知県の風土と人に惚れ込み、生活の拠点を移住。ミニシアターの運営や地域コミュニティと結びついた文化発信に心血を注いできた。父・奥田の破天荒な推進力と、曽祖父・犬養毅から受け継いだ「社会と人間を見つめる巨視的な視点」が、彼女の中で独自の発酵を遂げている。