世界的なアート市場において、昭和の緊縛写真に対する現在の評価は過去最高レベルに達しています。欧米を中心に「SHIBARI」という言葉がそのまま現代アート用語として定着し、ニューヨークやパリの著名ギャラリーでヴィンテージプリントが高値で取引されるケースも珍しくありません。
現代のデジタル写真にはない、銀塩モノクロプリントが持つ圧倒的な階調表現、そして職人技によって結ばれた麻縄の有機的な質感。これらが「20世紀後半の日本が産み落とした類まれな身体彫刻写真」として美術史的に再定義されたことが、今日のブームの決定打となりました。かつてサブカルチャーの片隅で密かに流通していたビジュアルが、半世紀の時を経てグローバルな美学の対象へと大転換を遂げています。