昭和後期の緊縛文化を語る上で欠かせないのが、官能文学界の巨星・団鬼六の存在です。団鬼六が主宰した雑誌『SMファン』などを舞台に、文学とヴィジュアル表現はより緊密な結びつきを見せるようになります。
この時代、単なる裏方にとどまらず表現者として脚光を浴びたのが、緊縛師の名人たちでした。明智伝鬼やヌエ坊主をはじめとする名手たちは、身体のラインを美しく見せる幾何学的な縄筋を編み出し、写真家との共同制作によって数々の緊縛写真集を世に送り出しました。物語性と造形美が融合したこれらの作品群は、海外のフェティッシュ写真とは一線を画す日本独自のジャンルとして確立されたのです。