かつてのアニメーションにおいて、ヒロインはしばしば「救済を待つ存在」だった。しかし、ジブリはその固定観念を根底から覆した。その象徴が、『風の谷のナウシカ』のナウシカであり、『もののけ姫』のサンだ。
ナウシカは単なる戦士ではない。彼女は科学者であり、平和主義者であり、そして何よりも一人の苦悩する人間だ。巨神兵の恐怖や環境破壊の現実に直面しながらも、対話の可能性を模索し続ける。一方、サンは人間に捨てられ、山犬として生きる野生の少女だ。彼女の怒りと剥き出しの生存本能は、当時の観客に強烈なインパクトを与えた。守られる側から、自ら運命を切り拓く側へ。このシフトこそが、ジブリが世界に与えた最大の衝撃だったと言えるだろう。