東京・赤坂を本拠地とし、首都圏を中心に広大な勢力圏を誇る指定暴力団・住吉会。その内部で長年密かに共有されてきた音源が、なぜ今になって流出し、都市伝説のように語り継がれるのか。その真相を探ると、時代の変革期における組織内部の地殻変動が見えてくる。
流出のきっかけとなったのは、旧来のアナログカセットテープや限定配給された自作CDのデジタル化だった。かつて幹部襲名式や周年行事の返礼品として極少数に渡された「音の記録」が、元関係者の遺品整理やアンダーグラウンドな情報取引を経てネット上に流出。歌詞に込められた「侠客としての意地」「掟を破る者への冷徹な制裁」といったフレーズは、視聴者に強い異物感と好奇心を抱かせた。
長年、暴力団取材を続けるジャーナリストは語る。「あの歌は単なる娯楽ではない。幹部から下部構成員に至るまで、組織への忠誠心と絶対的な服従を脳裏に刻み込むための精神的装置だった」。メディアの表舞台には決して出ないその旋律は、現代社会から隔絶された裏社会の深層を不気味に物語っている。