制度上は「必要書類を持参すれば即日交付」と謳われているものの、実際の窓口現場では書類の不備や認識のズレからトラブルに巻き込まれるケースが後を絶たない。ネット上のコミュニティ(5ちゃんねるバイク板や知恵袋)に寄せられた生々しい体験談や、現場関係者への取材から浮かび上がるリアルを検証した。
ある30代の会社員ライダーの手記には、制度の不条理に対する憤りが綴られている。
「引っ越しに伴いナンバー変更と届出済証の住所変更をしようと、会社を半休して軽自動車検査協会へ向かいました。番号札を取って30分待ったところで窓口の職員から『お客さん、これ250ccのバイクですよね?うちは四輪だけなんですよ。陸運局へ行ってください』と冷たく告げられた。そこから車で40分かけて運輸支局へ移動したものの、着いた時には午前の受付終了時間を過ぎており、結局有給休暇を丸一日棒に振ることになった」
また、個人売買プラットフォームの普及に伴うトラブルも深刻化している。知恵袋等で頻出するのが「メルカリやヤフオクで『書類紛失・部品取り用』として安く出品されていた250ccバイクを購入したが、正規登録できない」という相談だ。
現場の登録実務に詳しい行政書士は次のように警鐘を鳴らす。
「軽二輪は車検がない分、所有権の確認が届出済証という紙一枚に依存しています。前所有者と連絡が途絶え、届出済証も返納証明書もない状態で購入してしまうと、そのバイクが盗難車ではないという証明が極めて困難になります。警察への盗難照会や過去の登録記録の開示請求など、途方もない労力と費用がかかり、結局ナンバーを取得できず鉄くず同然になるケースが多発しています」
さらに、2019年7月に行われた様式変更に起因する戸惑いの声も根強い。それ以前の軽自動車届出済証は、緑色を基調としたハガキサイズのコンパクトな厚紙だった。しかし、現行の様式は偽造防止加工が施されたA4サイズの普通紙へと大型化された。「旧型は車載工具入れの隙間にすんなり収まっていたが、A4用紙になってからは防水ケースに入れてシート下に無理やり折り曲げて収納しなければならず、雨天時の湿気でボロボロになりやすい」というライダー特有の物理的苦悩も現場の観察から見えてくる。