なぜ補助動詞はひらがなで書くべきなのか。日本語学・現代国語文法的な視点からその境界線を紐解くと、言葉本来の意味の「薄れ」が関係していることがわかる。
「致す」という本動詞は、「届かせる」「引き起こす」「(命を)投げ出す」といった具体的な意味と強いエネルギーを持っている。しかし、「ご案内いたします」という文脈における「いたします」は、「案内する」というメインの動作を丁寧に表現するためだけに機能しており、「致す」本来の重い意味合いは消滅している。このように本来の意味が薄れて文法的なサポート役に回った動詞を「補助動詞」と呼び、国語学においては本動詞と区別するためにひらがなで書き表すのが合理的とされるのだ。「いただく」「くださる」「いく」「くる」なども同様の理由で、補助動詞として使う際はひらがな表記が標準となる。