スタイリッシュな役どころで脚光を浴びる一方、キャリア初期の代表作『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』で見せた無力感の表現もまた、中島の真骨頂だった。囲碁のプロ棋士になる夢を絶たれ、学歴も社会人経験もないまま総合商社のインターンに飛び込む主人公・一ノ瀬歩。スーツに着られているような頼りない立ち姿から、理不尽な組織の波にもまれながら一歩ずつ足場を固めていく過程を、驚くほど繊細なグラデーションで演じきった。
過剰な感情表現に頼らず、伏せた視線や指先のわずかな震えで語るリアリズム。組織の片隅で懸命に息をする若者の哀愁を掬い取ったこの作品は、現代を生きる多くの働く人々の胸を打った。華やかなスポットライトを浴びるトップアイドルが、名もなき新入社員の痛みをここまで生々しく代弁できるという事実は、彼が天性の観察眼と人間理解力を備えている証拠である。