近年、主要ターミナル駅周辺のみならず住宅街の近隣にまで中国物産店がなぜ多いのか、その理由を紐解くと、複数の社会的な構造変化が浮かび上がります。
最大の要因は、在日中国人居住者の生活基盤の変化です。出入国在留管理庁の統計データによると、在日中国人数は80万人を超えて過去最多水準を推移しています。これに伴い、従来の横浜中華街や神戸南京町のような観光型集積地にとどまらず、池袋、新宿、高田馬場、川口、西川口といった生活拠点周辺に、日々の生鮮食品や調味料を供給するインフラとしての中華食材専門スーパーが定着しました。
さらに見逃せないのが、日本人の食体験の深化です。日本人向けにアレンジされた町中華とは一線を画す、本場の味付けやスパイスをそのまま提供する「ガチ中華」がメディアやSNSで大きな支持を集めました。外食で本場の麻辣(マーラー)や酸辣(サンラー)の味に魅了された消費者が、「自宅でもあの味を完全再現したい」と専門食材を買い求める動きが加速したのです。この需要増に応える形で、小型の個人商店から大型複合施設型まで、多様な出店ラッシュが続いています。