『Fin』がリリースされた1986年は、日本の音楽業界にとって大きな転換期だった。歌謡曲という単一のジャンルが解体され、より洗練された都市型ポップス、すなわち後の「J-POP」へと移り変わる端境期である。
昭和歌謡のドラマチックな叙情性と、80年代後半の先進的なサウンドメイクが見事に融合した『Fin』は、日本の音楽産業が次のフェーズへと進化するための重要な足跡となった。作家陣の意図を完璧に汲み取り、それを超える表現で提示してみせた中森明菜の存在は、当時のクリエイターたちにとっても最大のインスピレーション源であり続けたのだ。