足の専門治療院や整形外科のリハビリテーション室を訪れる患者のカルテ、および市民ランナーたちのコミュニティ調査からは、セルフテーピングにおける「実生活ならではの障壁」が浮かび上がってきます。
マラソン愛好者の間で特に相談が多いのが、ランニング足底筋膜炎予防に関する実態です。月間走行距離が100kmを超える愛好家の証言では、「痛みを完全に消そうとしてテープを何重にも巻いて出走した結果、足の甲が圧迫されて中足骨痛を併発した」という症例が報告されています。走る際の衝撃は体重の3倍近くに達するため、テープだけで痛みをねじ伏せて走り続けるのは断裂リスクを高める極めて危険な行為です。ランナーの場合、接地時のプロネーション(足首の倒れ込み)を制御する目的でテンションを20%程度に抑えて貼るのが現場での定石とされています。
もう一つの切実な悩みが皮膚炎です。足の裏は汗腺が密集しており、1日でコップ1杯分もの汗をかきます。継続してテープを貼る人の約35%が経験する皮膚トラブルに対し、医療従事者が指導する足裏テーピングかぶれ防止法の基本は以下の3点に集約されます。
第一に、テープの四隅をハサミで丸くカットすること。角をなくすだけで靴下との摩擦によるめくれ上がりが激減します。第二に、貼る直前にアルコール綿や石鹸で足裏の油分・皮脂を完全に拭き取ること。密着度が高まることで余計な摩擦を防げます。そして第三に、入浴時は無理に剥がさず、剥がす際は毛の生えている方向に沿って皮膚を押さえながら「折り返すように」ゆっくり剥がすことです。皮膚用保護スプレーを事前に塗布しておく手法も現場で高い支持を集めています。