多くの自治体や教育委員会で人間起こしが禁止された最大の理由は、「失敗した際の怪我の重篤度」が他の技と比べて圧倒的に高い点にあります。静止状態を保つピラミッドなどとは異なり、人間起こしは勢いを利用する「動的(ダイナミック)な技」であるため、一度タイミングが狂うと受け身を取る暇もなく地面へ激突します。
過去に報告された人間起こしの事故事例では、以下のような致命的な外傷が確認されています。
- 頸椎損傷および脊髄損傷:引き上げの途中でトップの体が反り返ったり手が滑ったりして、頭部からマットのないグラウンドへ落下するケース。最悪の場合、全身麻痺などの重い後遺症を残す恐れがあります。
- 脳震盪および頭部打撲:引き起こす際の急激な遠心力やバランス喪失により、頭部が前後に激しく揺さぶられる、あるいは土台同士が衝突することによる外傷です。
- 手首・鎖骨・足首の骨折:落下したトップを無理に支えようとした土台役の児童・生徒が巻き込まれ、過剰な荷重がかかって骨折する二次被害も多発しました。
学校管理下の事故を補償する日本スポーツ振興センター(JSC)のデータ蓄積や、医療専門家からの強い警告を受け、「教育的効果に対して背負うリスクが釣り合わない」という判断が急速に広まりました。