ザ・ドリフターズのリーダーであるいかりや長介は、舞台上の緻密な計算と間合いを何よりも重んじる人物として知られていた。志村が提示する新感覚のアドリブやテンポ感に対し、当初はグループの伝統的な間合いとの調整が繰り返された。
しかし、志村の持つ天性のポップさと視聴者の反応の鋭さをいかりやは見逃さなかった。激しい攻防と議論の末に作り上げられる舞台コントは、一切の妥協を許さないプロフェッショナリズムの結晶であった。「最初はグー」という短いフレーズ一つにも、客席の呼吸を完全に支配するための計算し尽くされた間が存在していたのである。