音楽ファンのみならず美術史家やミステリーファンを熱狂させているのが、「ダヴィンチ 最後の晩餐 隠された楽譜」の存在です。このセンセーショナルな発見は、2007年にイタリアのコンピューター技師であり音楽家でもあるジョヴァンニ・マリア・パーラ(Giovanni Maria Pala)氏の研究によって世界的な脚光を浴びました。
パーラ氏が着目したのは、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院にある壁画『最後の晩餐』に描かれたテーブルの上の「パン」と、キリストおよび12使徒の「手」の配置でした。絵画全体に五線譜を重ね合わせたところ、パンと手の位置が音符(ネウマ譜のような記法)として機能していることを突き止めたのです。さらに決定打となったのは、レオナルド・ダ・ヴィンチが左利きであり、ノートをすべて「鏡文字(右から左へ)」で記述していたという有名な事実でした。
音符を通常の左から右ではなく、ダ・ヴィンチの流儀に従って右から左へと読み解いた結果、4分の4拍子・約40秒間にわたる短調の荘厳な旋律が立ち現れました。その響きは、バロック以前のルネサンス期教会音楽に通じる厳粛なレクイエム(鎮魂歌)そのものであり、キリストの受難と死を予見する「神への讃歌」として成立していたのです。当時の記者会見でパーラ氏は「単なる偶然の配置ではなく、数学と音響学に精通していたレオナルドが綿密に計算して埋め込んだ意図的な暗号である」と述べています。この歴史的旋律は「最後の晩餐 音楽 レオナルドダヴィンチ」として音源化もされており、古楽を愛好するピアニストやオルガン奏者によって今なお研究・演奏され続けています。