どん底の阿部を救ったのは、演劇界の巨匠・つかこうへいだった。1993年の舞台『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』。ここで阿部が演じたのは、バイセクシャルの刑事部長という、これまでの二枚目イメージを根底から覆す役どころだった。大声を張り上げ、汗を飛び散らせ、泥臭く狂気を演じる。つかこうへいの容赦ない指導によって、阿部は「美男子」という殻を自ら破壊した。この泥臭さこそが、彼の演技に深みを与える決定的な転換点となったのだ。
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