佐村河内守氏を巡る最大の論争点は、「完全に音が聞こえない(全聾)」というプロフィールの真偽でした。メディアは彼を「日本のベートーヴェン」「闇のなかで音を紡ぐ奇跡の人」として大々的に報じ、NHKスペシャルなどの特番がその虚像を後押ししていました。
しかし、新垣氏の「初めて会った時から一度も耳が聞こえないと感じたことはない。普通に会話していた」という決定的な証言により、医学的な検証が一気に進みました。騒動直後に横浜市が指定医療機関で実施した精密検査(聴性脳幹反応など)の結果、佐村河内氏の聴力障害の実態が公的に判明しました。
診断結果は「両耳の聴力レベルは約50dB程度の中等度難聴(感音性難聴)」。身体障害者福祉法が定める身体障害者手帳(2級)の基準である「両耳の平均聴力レベルが100dB以上の全聾」には明らかに該当せず、手帳の交付基準を満たしていないと結論付けられました。これを受け、佐村河内氏は横浜市へ障害者手帳を返還。まったく聞こえないわけではなく、補聴器や口話、あるいは静かな環境であれば日常会話を一定程度聞き取れる状態であったことが耳の真相として確定しました。