信州大学に進学した佐藤二朗は、松本市での下宿生活をスタートさせました。麻雀やアルバイトに明け暮れるごく普通の大学生らしい一面を持ちながらも、彼の運命を大きく変えたのが学内の演劇サークル(劇団「渚」)への参加でした。
それまで演劇の専門教育を受けていたわけではなかったものの、舞台上で観客を笑わせ、感情を揺さぶる快感に憑りつかれます。仲間たちと夜遅くまで台本を読み合わせ、アパートの一室で芝居論を熱く交わすなど、キャンパスライフの中心は完全に演劇へとシフトしていきました。経済学部で学びつつも、表現者としての才能の芽はこの松本の地で確実に芽吹いていたのです。