佐野勇斗がこの役を掴み取った背景には、熾烈なオーディションがありました。小泉徳宏監督をはじめとする制作陣は、新入生役に単なる知名度や美形さではなく、すでに完成された前作キャストのチームワークに風穴を開けるバイタリティを求めていました。
当時のインタビューや特番で語られた回想によると、佐野はオーディションの段階から筑波秋博特有のふてぶてしさと愛嬌を徹底的に研究して挑んだといいます。その結果、監督から「筑波そのものだ」と高く評価され、大抜擢に至りました。
役作りの過程では、かるたの過酷な練習が待ち受けていました。競技かるた特有の構えや畳を払うスピード、膝への激しい負担に耐えながら、連日長時間の特訓を実施。現場関係者の証言によると、指から血をにじませながらも愚直に札に向き合い続けたといいます。
そして筑波の代名詞である「舌打ち」について、佐野自身は「普段絶対にやらない行為なので、音の鳴らし方からタイミングまで何度も研究し、日常生活でもつい音を出してしまいそうになるほど体に染み込ませた」と述懐しています。単なる嫌味な奴に終わらせず、どこか憎めない愛されキャラへと昇華させた点に、彼の演技的センスの高さが表れていました。