1988年、温水は松尾スズキが立ち上げた劇団「大人計画」の旗揚げに参加する。当時の小劇場界は、バブル景気の狂乱の裏で、既存の演劇秩序を破壊しようとする若者たちの熱気で満ちていた。温水もまた、そのカオスな渦の中に身を投じた一人だった。
宮藤官九郎や阿部サダヲら、のちにエンタメ界を席巻する異才たちが集う前の大人計画において、温水はまさに看板俳優の一人だった。彼の持つ「普通っぽさ」と、時折見せる「狂気」のギャップは、松尾スズキの毒のある演出と見事にシンクロした。この時期の過酷な舞台経験が、彼の演技の骨格を作ったのは間違いない。