成型工場から届いた素体に命を吹き込むのが塗装工程です。軟質塩化ビニールで作られるソフビには「可塑剤(かそざい)」と呼ばれる柔軟性を保つ成分が含まれており、一般的なプラモデル用ラッカー塗料や水性アクリル塗料を使うと、時間が経つにつれて可塑剤が浮き出し、塗膜がベタついたり剥がれたりするトラブルが発生します。
そのため、塗装には必ず塩ビ素材に強力に密着するソフビ専用塗料「Vカラー(イサム塗料)」や、ソフビ専用のナグラ塗料を使用します。Vカラーは速乾性で食いつきが極めて強い反面、強い有機溶剤臭を伴うため、作業時は有機溶剤対応の防毒マスクの着用と強力な塗装ブース(換気環境)の確保が必須です。
塗装技法としては、エアブラシによるグラデーション塗装のほか、細部の塗り分けにはマスキングゾルやマスキングテープを用います。また、凸モールドの溝に塗料を流し込んだ後に専用シンナーを含ませた布で表面を拭き取る「拭き取り塗装」を駆使することで、立体感やヴィンテージトイ特有の味わい深い質感を表現できます。