長らく日本のスペシャルティコーヒー市場を席巻してきたフルーティーな浅煎りシングルオリジン。しかし今、潮流は劇的な変化を見せている。サイフォンやネルドリップを用いた、じっくりと時間をかけて抽出する「濃厚な深煎りブレンド」の価値が再評価されているのだ。
浅煎りの酸味に慣れ親しんだ層にとって、苦味の奥に広がる濃密な甘みとコクは新鮮な衝撃だった。抽出に5分以上を費やす丁寧な作法そのものが、ファストカルチャーに対するアンチテーゼとして若者の目に新鮮に映る。一杯のカップが提供されるまでの「待つ時間」すらも、上質なコンテンツとして消費されている。